分散型取引所とは、DEX(Decentralized Exchanges)とも呼ばれます。
暗号資産(仮想通貨)のスマートコントラクト機能を利用し、ユーザー同士の取引を行います。そのため、管理者を必要としていません。
これに対し、管理者のいる暗号資産(仮想通貨)の交換業者は、中央集権型取引所(CEX:Centralized Exchange)とも呼ばれます。
分散型取引所(DEX)とは
DEXは以前説明した、管理者のいる交換業者(CEX)とはまた似て非なる存在です。
CEXは、法人格を持った団体や組織などが主に運営し、取引の仲介、ユーザー資産の管理などを行っています。つまり管理者のいる取引所です。
これに対し、DEXは管理者がいません。もちろん、システムである以上、開発した組織はありますが、取引を仲介しているわけではありませんし、ユーザー資産の管理もしていません。
DEXは暗号資産(仮想通貨)のスマートコントラクトの機能を使って運営しています。
DEXが何なのかは、まずスマートコントラクトの説明が必要です。
スマートコントラクト
スマートコントラクト?スマコンみたいなやつ?
全然違います
スマートコントラクトは、コントラクト(契約)の自動化のことです。
例えば、契約を成立させるための条件や、実行のプログラムをブロックチェーンに記録しておき、条件が達成されたときに、自動的に契約が成立します。
これはよく、自動販売機に例えられます。
(条件達成)お金をいれ、ボタンを押す
(契約成立)ジュースが出る
この一連の動きがスマートコントラクトです。
DEXの仕組み
DEXを使うには、まず自分でMetamaskなどのウォレットを用意します。
そしてDEXのサイトにアクセスしてウォレットとDEXを接続するための承認(aprove)をします。
これは、DEXのサイトに暗号資産(仮想通貨)の移動や実行の権限を与える行為です。これを承認しないとDEXでの取引はできません。
DEXで例えば、イーサリアムを売却し、他のアルトコインに変えたい場合、売却注文というスマートコントラクトはブロックチェーンに書き込まれます。
条件が満たされたら、イーサリアムは相手(または流動性プール)に送られ、注文した他のアルトコインがウォレットに入ります。
なお、DEXはウォレットを接続するだけなので、本人確認(KYC:know your custmer)は不要です。
金融庁の管理下にある日本の取引所で口座開設するためには、本人確認が義務付けられています。
海外の取引所の場合は、その限りではないですが、多くの取引所はKYCにより、取引量を増やせるなど、実質的にKYCを実施しているところが大半です。
流動性プール
ところで「流動性プール」ってなんのこと?
交換したい暗号資産(仮想通貨)がなくて取引できない!という事態を防ぐためのシステムだよ
例えば、「イーサリアム(ETH)をUSDTというアルトコインに変えたい!」とします。
「ETHーUSDT」という取引を成立させるためには、逆に「売りたい!」という相手がいないと成立しません。
相手方がいなくて取引できないのでは、不便ですし、誰も利用しようとは思いません。これは流動性が低い状態です。
そんな事態を避け、流動性を高めるためには、ETHとUSDTをストックしておく必要があります。これが流動性プールです。
流動性プールへの提供は誰でもできます。流動性を提供したい人は、ETHとUSDTをウォレットに準備して、DEXへ提供するための操作をします。
流動性のために提供した暗号資産(仮想通貨)は、基本的にいつでも引き出せるよ。
その流動性プールに暗号資産(仮想通貨)を預けると何かいいことがあるの?
あるといえばあるし、ないといえばない。
それは暗号資産(仮想通貨)の価格が変動するからだね。
流動性プールに暗号資産(仮想通貨)を提供すると、提供したペアの取引が活発だった場合、より多くの手数料が手に入ります。
これは提供した暗号資産(仮想通貨)の量に応じて取り分が決まるので、多く提供するとだけ、より多くの手数料をもらうことができます。こうして手数料を得ることをイールドファーミングといいます。
価格変動損失(Impermanent Loss)
またわけのわからん単語が・・・
DEXの説明とは直接関係ないので、飛ばしてもいいです。
変動価格損失とは、暗号資産(仮想通貨)を流動性プールに提供した場合に、入金した暗号資産(仮想通貨)の価格が変動した際に生じる損失のことです。
ここでいう損失は、ドル建ての損失のことです。値上がりを期待して、暗号資産(仮想通貨)をホールドするなら、それもよしです。
もしETHの価格があがったら?
ETHの価格が上がった場合を例として説明します。
前提条件
〇1ETHは供給時点でドル建て価格が100ドル、USDTは1ドル
〇流動性プールは、ETHとUSDTは同価値(1:1)となるよう調整される。
→1ETH =100USDT
〇流動性プールに1ETH、100USDTを供給する。
〇供給後のプールは合計で10ETH、1,000USDTとなる。
〇USDTのドル建てに変動はないものとする。
この時の流動性プールへの提供割合は10%だね。なので引き出す時には、その時点でのプール送料の10%戻ってくるという意味の0.1LPトークンを入手していることになるよ。
ところがこの後、ETHが400ドルまで値上がりしました!つまり、1ETH=400USDTです。
この時、プールの価格は1ETH=100USDTのまま。みんなこのプールでETHを買いたくなりますね。
すると、どんどんETHが減って、USDTが増えていくことになります。結果的にプールのETHの価格も市場価格の400ドルになるまで取引が続けられることになります。
はい、みんな取引したのでプールの量が減っちゃいました!
結果として、プールには5ETH、2,000USDT残ったとします。この時点でLPトークンを使い、10%引きだすと、手元には0.5ETHと200USDTが戻ります。
ETHの値上がりを加味して、ドル建てで400ドル。つまり400マイナス200で、200ドル利益が出たことになります(もらった手数料は除いて考えています。)。
では、流動性プールに預けなかったらどうなっていたでしょう?
はい、どうぞ!
ええと、元が1ETHで100USDTだから、放置してれば1ETH400ドルと100ドルで、500ドル?
結果的に、イールドファーミングしなければ、500ドルです。手元に戻った400ドルと比較して、法定通貨換算で100ドル少なくなったということになります。
手数料は取引の総量に応じて変動するため、もしも値下がり分を、手数料でカバーできれば、問題なしです。
しかし価格の変動を予知することはできません。イールドファーミングした方がよいかどうかは何ともいえないところです。
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