ちょっと前(2022年)ぐらいからWeb3.0がバズワードになったけど、結局なんのこと?
Web3.0はブロックチェーンの技術を使った新しいインターネットの概念のことだよ
昨今どこもかしこもWeb3.0、バズワード化して世間をにぎわせていました。
でも結局新しいインターネットって何のことでしょう?
よくあるWeb3.0の説明
ざっくり図解するとこんな感じです。
Web1.0、Web2.0、そしてWeb3.0の観点から、Web3がどのようにバズワード化したのか、またWeb3.0の利点について説明します。
Web1.0
Web1.0は1990年代の初期のインターネットのことです。
このころは「静的なウェブサイト」が主流でした。
情報は一方的に提供され、ユーザーは基本的に読むだけで、相互作用はほとんどありません。
ウェブサイトは主に企業や組織が運営し、ユーザーは情報を消費するだけの「受け手」としての立場でした。
Web2.0
2000年代中盤から、Web2.0が普及しました。
相互のコミュニケーションが可能になり、ユーザーはSNSやブログ、Youtubeなどの動画プラットフォームを利用するなど「参加型のインターネット」が発展しました。
企業はプラットフォームを提供する、ユーザーは自らコンテンツを投稿するなど、「ユーザーが生成したコンテンツ」を中心に成り立っていました。
ただし、超巨大企業(Google、Facebook、Amazonなど)がプラットフォームを支配し、ユーザーのデータを収集・管理する「中央集権的な構造」が強まりました。
これにより、プライバシーやデータの所有権に関する懸念が高まりました。
なんだかビットコインが生まれた背景と似ているね
中央集権的という意味では、国が個人情報を管理しているというのも当てはまるね
Web3.0
やがて、ビットコインに代表されるような、ブロックチェーン(分散型台帳)が台頭してくると、中央集権的なインターネットから、分散型インターネットとして、個人の情報を個人に取り戻そう!という動きが出てきます。
このように、Web3.0(またはWeb3)は、ブロックチェーン技術を基盤として、Web2.0の中央集権的な構造から脱却し、ユーザーがデータや資産を自己管理できる分散型インターネットを目指しています。
この構想は、暗号通貨やスマートコントラクト、NFT(非代替性トークン)などの技術によって実現され、ユーザーは中央機関を介さずに取引や契約を行うことができます。
Web3.0の構想自体はもっと前からあったけど、NFTがブームになったあたりから「Web3.0」がバズワード化しましたね。
Web3.0って何がいいの?
インターネットを分散化して、Web3.0にすると何がいいの?
これには次のような利点があります。
・データの所有権
・分散型経済
・契約の自動化
・耐検閲性
・相互運用性
データの所有権
Web3ではユーザーが自分のデータを所有し、管理することができるようになります。
これは中央集権的なインターネットのWeb2.0とは違い、ユーザーが自身のプライバシーをコントロールできる。
ということになります。
分散型経済
暗号資産(仮想通貨)を利用した新しいプラットフォームにより、トークンエコノミーを形成することが可能になります。
つまり、中央集権的な国や企業を介さずに取引ができる、報酬が分配されるなどが可能になります。
トークンエコノミーという意味では、ブロックチェーンゲームなどのように、特定の暗号資産(仮想通貨)しか使えない経済圏はすでに実現されているね。
契約の自動化
スマートコントラクトを利用することにより、契約が自動的に実行され、仲介する者がいらなくなります。
すると、取引のコストたとえば手数料などの削減でき、また取引の透明性が確保できます。
まあ、アドレスとトランザクションはわかっても、個人の情報まではわからないからねえ。
耐検閲性
Web3はブロックチェーンを利用することになり、取引にかかる検閲が難しくなります。
検閲というと言葉が乱暴だけど、これは裏を返せば、企業が取引を保証しないので、なにかあっても自己責任ということですね。
相互運用性
異なるブロックチェーンや、プラットフォーム間で、相互の運用ができるようになり、ユーザーがプラットフォーム間で資産やデータを簡単に移動できるようになります。
これも暗号資産(仮想通貨)のDEXでは、異なるチェーン間のスワップが既に実現されているから、今後はこの技術をどこに生かすかが課題ですね。
Web3.0はこれらの巨大企業による個人情報の独占を個人の手に取り戻そう!というのが本来のWeb3.0の趣旨です。
Web3.0はそもそもどこから生まれたの?
Web3.0の概念はいつからあったの?
これでしょうなあ・・・
もともと、2014年にとあるブログに投稿された記事にWeb3.0の発想がありました。
イーサリアムの共同開発者「Gavin Wood」が書いた「ĐApps: What Web 3.0 Looks Like」という記事です。
この記事では
GAFAがインターネットを利用して台頭することへの疑問
Web3.0は今後台頭する
Web3.0ではイーサリアムが重要である
というようなことが書いています。
これについてはビットフライヤーの加納さんがnote記事「誰でもわかるWeb3の原点」で詳しく解説されているので探してみてください。
・分散型アプリケーション (DApps)
Web3では、データやサービスが中央の管理者を必要とせず、ユーザー同士の間で直接やり取りできるようになるとされています。これにより、インターネットがより自律的で透明性のあるものになります。
・ハッシュと暗号化
情報はハッシュという技術を使って管理され、これによりデータの改ざんを防ぎます。たとえば、ファイルのダウンロードはP2P技術(例:BitTorrent)と似ており、中央サーバーを介さずに行われます。
・プライバシーの向上
Web3では、ユーザーが自分の情報を安全かつ匿名で管理できるようになります。IPアドレスを公開せずにインターネットを利用する技術も議論されており、これによりプライバシーが強化されると考えられています。
・スマートコントラクト
Web3は、従来のインターネットとは異なり、契約や取引を自動化するスマートコントラクトが重要な役割を果たします。これにより、信頼を分散し、一部の企業に過度に依存しないエコシステムを構築することが目指されています。
NFTブームの時に、くぎを刺す意味で投稿されたように感じます。
「NFT=Web3.0ではない」よというメッセージを個人的には感じますが・・・
はたしてどうでしょう。
国の動き
ところで国の動きはどうなっているのでしょう?
「Web3.0を国家戦略へ」ということで、2023年に自民党のデジタル社会推進本部Web3プロジェクトチームによって「web3ホワイトペーパー 誰もがデジタル資産を活用する時代へ」が公表されました。
「web3ホワイトペーパー 誰もがデジタル資産を活用する時代へ」で検索するとすぐでてきますよ。
そもそも、日本のWeb3.0に対する取り組みは遅れているため、国家を挙げて取り組もう!というのが趣旨です。
・解決すべき課題の指摘
Web3事業の発展を阻害する「ボトルネック」となっている法制度や税制、監査基準などに関する論点を明確にして、それを早急に解決しなくてはならない。
・将来に向けた議論の深化
Web3の普及に向けて、DAO(自律分散型組織)やNFT、メタバースなどの技術に関連する規制やビジネス環境整備を進めるべきである。
ステーブルコインやセキュリティトークンなど、今後のデジタル資産の活用を見据えた規制の整備も重要である。
・過去の提言の進捗モニタリング
「NFTホワイトペーパー」で提案された施策の進捗状況を振り返り、それに基づいてさらなる改善を行うことを目指す。
暗号資産業界団体の「JVCEA」の審査期間の短縮により、暗号資産の上場について言及されているのは意外でしたね。
もっとも、JVCEAの立場としては、もっとたくさん上場させたい希望は大いにあるようですが。
IT関連の技術の遅れによって、国力が下がりがちであったのを、Web3.0を国家戦略にすることで、国力を回復させよう!
という試みは個人的に期待していますので、ぜひ成功してほしいですね。
そもそもWeb3.0は国や超巨大企業からの脱却が目的じゃないの?ゴニョニョ
そういう突っこみは控えましょう。
国しか法整備はできないので、いい方向に進むのを期待しましょう。
各省庁の動き
各省庁でもWeb3.0の取り組みに向けて、各研究会を行っていますので、興味のある方は参考にしてください。
〇デジタル庁
web3.0研究会https://www.digital.go.jp/councils/web3
〇総務省
Web3時代に向けたメタバース等の利活用に関する研究会
https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/metaverse/index.html
〇内閣府
Web3.0 研究会報告書
〇金融庁
デジタル・分散型金融への対応のあり方等に関する研究会
https://www.fsa.go.jp/singi/digital/index.html
ついでにWeb4.0
Web4.0?早すぎない?
Web4.0は、Web3.0の次の進化と見なされています。
Web3.0が分散化やブロックチェーンを基盤にした「ユーザー主導のインターネット」を目指しているのに対し、Web4.0はさらに高度な技術的進化を伴います。
AIやブレインインターフェイス、VRやARなどのメタバースを利用した「インターネットを体験する空間」のことをいうけど、これはまた別の記事にしたいと思います。
結局のところ、AIの進化が早すぎて、インターネットは次の段階に進もうとしています。
これをIoTや、AR/VR、メタバースとも絡めた次世代のインターネットとして期待されているのがWeb4.0です。
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